島原城薪能とは

秋の夕暮れ、”カーン”と鼓が響き、謡曲が流れる。篝火が能舞台を明るく照らし、その中に鮮やかな能装束のシテとワキが雅やかに舞う。背景には島原城が青白く光っている。なんと優美で幽玄な世界であろうか。数百年の時空を超えて、今その世界に浸ることが出来るのです。島原城薪能を鑑賞して、島原の名と共にある幸せをしみじみ感じる一夜です。

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能は日本が世界に誇る伝統芸能です。600年も昔に生まれました。能は演劇で、舞踏と音楽と演劇が一体となった総合芸術です。その中には狂言という分野もあります。
能をまとめたのは観阿弥(カンアミ)で、子の世阿弥(ゼアミ)によって15世紀頃に大成されました。室町幕府の保護のもとに、今までのどんな貴族的なものにも負けない高度な美を築き上げました。その後、戦乱の時代も生き抜いて、武将の教養として必須科目となりました。
江戸時代には、幕府の式楽(儀礼用の演劇)となり、武士道的な技芸の鍛錬として、300年間磨かれてきました。今日見られる能の演技は、この時代に完成されています。
もちろん島原でも行われ、島原藩主は盛んに能を催しています。島原城には能楽堂があり、松平文庫には多くの謡本や狂言本が伝えられています。やがて町人や農民にも広まり、藩主に招かれて上演したりと、島原にも能の長い歴史と文化があります。
島原ではその伝統と文化を守り育てていこうと、1983(昭和58)年に「島原城薪能」が復活し、現在まで続いています。